久しぶりに、規模のある住宅を設計しました。とは言っても、最近では、小さい家が多いので、60坪以上となると大きいように感じるのかもしれません。
まずは、材木の刻みから。
柱は、4寸角の杉。大梁は、末口9寸の丸太サヤ落しで杉や地松。土台は、桧。土台を受けるネコ土台が栗。いづれも、主要の軸組み材は、国産の芯持ち材を使用しています。(丈夫で安心ですね)

(墨付けにそって刻みます)

(集中していますね)

(材木の仕口が完成)
3月の彼岸明けに地鎮祭。

(あいにくの雨模様)
基礎(ベタ)工事。地盤は良く、杭は打ちませんでしたが、ベース下にぐり石(大きめの石)をこば立てに敷き詰め、しっかりと転圧していきました。

(丁張りをだしてから基礎工事へ)

(ぐり石が、かなり効きます)

(鉄筋を組み、ベースを作りました)

(型枠を組みました)

(コンクリートを流しこんでいます)

(型枠をはずし、内部の鉄筋を組みました)
基礎ができて、いよいよ建前の前日。大工さんが、刻んだ材木が現場へ運びこまれました。組み上げる順番も考えて、材木を並ばせていくのも重要なことです。

(角地です)
5月半ばに、建前をおこないました。

(すごい材木量ですね)

(木の上に立っているので、見てると怖そう)
無事、上棟!

(大工さん6人で2日がかりです)
建前が終わり、屋根工事が始まります。
今回もやはり、安田瓦を使用しました。

(切妻型の屋根です)

(5寸勾配なので見栄えがいいですね)
屋根工事が終わる頃、左官屋さんが、ヨシと竹を運んできました。
いよいよ、土壁作りの段取りです。

(結構長いヨシです)

(これは、孟宗竹です)
さぁ。小舞かきがスタート。

(暑い日でしたね~)

(手馴れた感じでゆっています)

(三角の部分は、特に難しいのです)

(全部しました)
土を塗って、乾き待ちです。

(ここまでくるのに、結構手間がかかっています)
土壁が乾いてから、板金屋さんが庇の板金をつけたり、大工さんがシートを貼っていきます。

(玄関先は、銅板を葺きました)
大工さんは、状況をみて、木のヨロイ貼りをやっていきました。
押縁を呼ばれる木板を押える加工は、段差に合わせて作っていくので、大変手間が掛かります。

(貼りはじめが肝心)

(押縁の加工状況です)

(もうすぐ完成)
板金屋さんが、妻壁(三角の部分)や小壁(壁の上部)にサイディングを貼っていきました。妻壁を塗り壁にするものいいのですが、吹き込みによる雨仕舞い(雨漏れ)を考えて、このような設計にしました。

(大きい三角ですね)
塗装工事。
木部にキシラデコールという塗料を2回塗って仕上げていきます。家がしまってみえてきます。

(塗るのも技術が要ります)
内部の造作工事も進み、順調です。

(和室ですね)
家具工事も家具屋さんが、作業場で作っています。

(戸棚製作中)
工事も終盤。再び、左官屋さんが登場。

(土を練って準備しているところです)

(これもまた手間がかかっています)
各職人さんは、住宅部分が終わり、次に、車庫を建てていきました。

(時期は、11月なかばです)

(車庫の屋根は、板金で葺きました)

(外壁も板金です)

(車庫内部に、コンクリートを流しています)
初冬に入り、天候が悪くなってきましたが、合間を見て、外部の工事も進めていきました。

(設備の配管工事をおこなっています)

(寒い中、アプローチを作っています)
冬になると、左官屋さんは、塗り壁の乾きに気をつかいます。最後の仕上げ、漆喰や珪藻土を塗っていきました。特に、漆喰塗りは平滑に仕上げるのが大変です!

(漆喰塗り状況)

(珪藻土塗り状況)
12月半ば、ついに完成しました。材木の墨付け・刻みから数えると、じつに1年間の工期がかかりました。

(リビング)

(玄関)

(台所)

(和室)

(クローク)

(テレビ台)

(脱衣場内の引出し収納)

(外観1)

(外観2)
感想:完成して、改めて見ると風土に合った家は、やはりいいと思えてきます。手間が掛かった家ですが、長い目でみれば、短い工期だったかもしれません。お客様の完成祝いの席にも呼んでいただき、喜んでいただけたのは仕事冥利につきます。